研究課題/領域番号 |
12671317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森下 清文 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10264532)
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研究分担者 |
村上 弦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30157747)
安部 十三夫 (安倍 十三夫) 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00094194)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 大動脈瘤 / Adamkiewicz動脈 / 前脊髄動脈 / histological study / Adamkiewicz artery / aortic aneurysm / adaptive intimal hyperplasia / electron microscopy / 胸腰部肋間動脈 / 病理学的研究 / 抗α-smooth muscle actin / 免疫染色 |
研究概要 |
アダムキービッツ動脈は前脊髄動脈の血流を補って脊髄の胸腰部を養う重要な動脈であるが、それを含め肋間・腰動脈から脊髄に至る動脈路全体を組織学的に検討した報告はない。 通常実習解剖体99体および胸部・腹部大動脈瘤を有する解剖体16体を用い、肉眼的にアダムキービッツ動脈、肋間・腰動脈、前脊髄動脈を培出し分節動脈の存在部位と、アダムキービッツ動脈合流部の頭尾側における前脊髄動脈内径を調べた。またこれら標本のうち通常標本32体および大動脈瘤標本11体について、内膜・中膜面積を計測し、各動脈の組織構築の特徴について検討した。 アダムキービッツ動脈の88.9%はTh8-L1の範囲に親動脈が存在し、左側に局在していた(左76.3%)。前脊髄動脈の内径はアダムキービッツ動脈合流部の頭側では平均0.3±0.1mm、同様に尾側では0.5±0.1mmであったが、合流部の頭側が尾側より太い前脊髄動脈が7本認められた。 動脈壁の厚さに占める内膜の比率は、アダムキービッツ動脈が33.2%、肋間・腰動脈が17.2%であった。アダムキービッツ動脈の内膜は抗平滑筋アクチン免疫染色陽性構造を多数含んでいた。 内膜の厚さは親動脈とアダムキービッツ動脈で個体差が大きく、特にアダムキービッツ動脈では突出して厚い例が存在した。親動脈の中膜が相対的に厚い(薄い)症例では、アダムキービッツ動脈の中膜は相対的に薄い(厚い)傾向にあった。 これまで前脊髄動脈は、合流部動脈は、合流部頭側が非常に細い、あるいは途絶えているといわれてきたが、合流部頭尾側径にあまり変化がない、あるいは尾側がやや細い症例を認めた。これらの症例では手術の際に親動脈を再建せずとも、前脊髄動脈により脊髄血流が維持されると考えられた。 アダムキービッツ動脈はその厚い内膜の弾性によって、大動脈側の血行動態や組織構築の変化に対するバリアないしモデレータとして、脊髄腰膨大に至る動脈路に介在していると考えられた。
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