研究分担者 |
伊藤 浩 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80261296)
青木 喜満 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10192858)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60301884)
|
研究概要 |
1.方法 (1)雄14週齢Wistar系rat55匹を使用し,右膝蓋腱にはin situ凍結解凍処理を施行し,左膝蓋腱にはsham手術を行なった. (2)これらratに対し,5匹には組織培養を用いた細胞壊死の検討を,20匹にはIII型collagen発現の免疫組織化学的検討を,15匹にはRT-PCRによるIII型procollagenのmRNA発現の分子生物学的検討を,15匹には力学特性の検討を行なった. 2.結果 (1)細胞壊死の検討:Sham膝蓋腱では2週間の組織培養にて83.0%の膝蓋腱より線維芽細胞の増生が観察されたのに対し,凍結処理直後の膝蓋腱では細胞増生は認められなかった. (2)免疫組織化学的検討:凍結処理膝蓋腱では術後2週においてIII型collagenの明らかな発現は認められなかった.3および6週では表層からの細胞浸潤を認め,その周囲にIII型collagenの発現を認めた。12週では膝蓋腱全層にわたり,浸潤細胞とIII型collagenの発現を認めた. (3)分子生物学的検討:術後3週では凍結処理膝蓋腱とsham膝蓋腱の間にIII型procollagenのmRNA発現に有意差はなく,6および12週では凍結処理膝蓋腱のIII型procollagenのmRNA発現はsham膝蓋腱に比し有意に高値を示した. (4)力学的検討:術後2週では凍結処理膝蓋腱とsham膝蓋腱の間に断面積および弾性率に有意差はなく,術後6週では凍結処理膝蓋腱はsham膝蓋腱に比し,断面積は有意に大きく,弾性率は有意に低値を示した. 3.結論:以上の結果より,凍結解凍処理により内在性線維芽細胞壊死を生じた膝蓋腱に浸潤する線維芽細胞はIII型collagenを過剰産生し,その結果,膝蓋腱が断面積増加と力学特性劣化を生じさせることが明らかとなった.
|