研究概要 |
整形外科領域である骨軟部腫瘍に関しても複数の遺伝子による遺伝因子と環境因子が複雑に絡み合う多因子牲の疾患として,ゲノムスケールの遺伝子研究の結果が期待されている.我々は病理補助診断、臨床経過、化学療法の効果判定、薬剤耐性の評価等に利用するために。既知の遺伝子ではあるが、1000から2000近くの癌遺伝子、癌抑制遺伝子、サイトカイン、細胞周期に関連する遺伝子などの基礎的な発現パターンや、悪性化前後での遺伝子発現パターンを解析した。対象は、骨・軟部腫瘍(骨肉腫例,滑膜肉腫,悪性線維性組織球腫,平滑筋肉腫,高分化型脂肪肉腫,粘液型脂肪肉腫,脂肪腫,神経鞘腫)44例と筋,脂肪などの正常組織である.組織からのRNA抽出はインビトロジェン社製のTRIZOLを使用した.DNase I処理後の5μgのtotal RNAサンプルに対し,クロンテック社製のAtlas Pure Total RNA Labeling Kitを使用し,マクロアレイに使用するcDNAプローブを作成した.マクロアレイはクロンテック社製のAtlas Human Cancer 1.2 Array(ナイロンメンブレン)を使用した.1枚のメンブレンにヒトがん関連遺伝子の1176cDNAがスポットされている.^<32>PラベルしたcDNAプローブをナイロンメンブレンにハイブリダイズさせ,ホスホイメージャBAS 1500(富士フィルム社製)でアレイイメージを得た.アレイイメージはクロンテック社製のAtlas Imageを用いグリッディング,バックグラウンドレベルの減算化の後に,各遺伝子の発現シグナルを数値化した.各サンプルデータはアレイ内に存在するハウスキーピング遺伝子に基づき正規化normalarizationした後に,normal referenceである正常筋脂肪組織のアレイデータと比較し,遺伝子発現の増減をみた.各サンプル間での遺伝子発現傾向の可視的データマイニングにはクロンテック社製のAtlas Navigatorを使用した.今回得られた発現プロファイルをもとに,クラスタリングをおこなった.その際のクラスタリングにはEizen & Brown のCluster & Tree Viewを使用した.結果、発現量が増加した6遺伝子と発現量の低下が見られた27遺伝子が得られた.
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