研究概要 |
皮質脳波と聴生誘発電位の2系列の情報を入力信号に用いて,鎮静薬と鎮痛薬を独立して自動投与できる麻酔自動制御システムの開発を目的として以下の項目の研究を行った。 1.プロポフォールとフェンタニルの薬物動態の検討とtarget conytrolled infustionシステムの開発 薬物動態モデルを使用して,プロポフォールとフェンタニルの血中濃度ならびに脳内濃度を一定に調節できるTCIシステムを開発した。 2.聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の統合システムの開発 聴性誘発電位と表在脳波の雑音を除去し解析に耐える生体情報を得られるようにした。パーソナルコンピュータに,聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の解析結果を同時に取り込めるようにした。 3.フェンタニルとプロポフォールの脳波に対する相互作用の検討 麻酔深度を鎮静度,鎮痛度に分離して定量するアルゴリズムを開発するために,呼吸管理中の症例を対象にプロポフォールとフェンタニルを12通りの組み合わせで投与し,聴性誘発電位の指標であるAuditory Evoked Potential Index (AEPindex)と皮質脳波の指標であるBispectral Inex (BIS)での相互作用を検討した。 4.聴性誘発電位と皮質脳波の情報統合による患者覚醒状態推定アルゴリズムの開発 AEPindexとBISの情報を統合し,患者の覚醒状態をより正確に検出するアルゴリズムの開発を行った。 5.聴性誘発電位と皮質脳波に対する低体温の影響 AEpindexとBISの情報を統合し,麻酔深度をより正確に定量するアルゴリズムの開発するために,直腸温22℃に至る体温低下の影響を検討した。 まとめと今後の課題 聴性誘発電位と皮質脳波を同時に測定することにより鎮静度をより正確に定量できることが明らかになったが,鎮痛度を定量する事は困難であることが判明した。聴性誘発電位と皮質脳波の情報統合による患者覚醒状態推定アルゴリズムを搭載した鎮静の自動コントロールシステムを開発中である。
|