研究概要 |
研究計画に従い,初年度はアフリカツメガエルの卵母細胞にKvLQT1あるいはminKの遺伝子情報と一緒に発現させ,吸入麻酔薬の影響について観察した.minKを同時に発現させた方がより大きな,本来のカリウムチャネル活性を観察することができた.それぞれのwhole-cell電流に対して吸入麻酔薬を曝露し,濃度依存性に抑制するのを観察した.吸入麻酔薬イソフルランとセボフルランで比較すると,イソフルランの方がより大きくカリウム電流を抑制した.次年度は,そのKvLQT1遺伝子のスプライスバリアントに関して検討した.補足遺伝子minKの同時発現が生理活性にとって重要であることを明らかにした.最近,我々は別の研究で,ラット心筋からβ_2サブユニットのスプライスバリアントをクローニングし,β_<2c>サブユニットと名づけた.Whole-cell patch-clamp法によって,β_<2c>サブユニットを用いて再構成されたCa^<2+>電流の不活性化率は,ラット心筋で測定されたものとほぼ同等であり,それらに比して,β_<2c>サブユニットを用いて再構成されたCa^<2+>電流のものは遅かった.これらの結果より,β_<2a>サブユニットがラットの心筋で機能するβサブユニットのひとつであると考えられた.最終年度は,β_<2a>サブユニットあるいはβ_<2c>サブユニットを用いて再構成されたCa^<2+>チャネルと,ラット心筋のCa^<2+>チャネルの単一チャネル記録を行い,解析を加え,比較検討した.β_<2c>サブユニットを用いて再構成されたL型Ca^<2+>チャネルの単一チャネル活動の特徴は,単離心筋で測定したnativeのCa^<2+>チャネルのものとほぼ同等であり,β_<2a>サブユニットを用いて再構成されたCa^<2+>チャネルのものとは異なることを明らかにした.
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