研究概要 |
ヒト尿道組織における、エンドセリン受容体のmRNA量並びに局在をcompetitive reverse transcriptase polymerase chain reaction (RT-PCR)とin situ hybridization probeを作製し、ヒト尿道筋組織における局在の差を検討した。 【方法】: Asbergらの方法(Scand J Clin Lab Invest 58:299-306,1998)に準じてendothelin A (ET_A)とendothelin B (ET_B)受容体サブタイプのmRNA並びにpreproendothelin-1 (ET-1) mRNAのprimerとcompetitiorを作成し、膀胱尿道全摘男女症例(膀胱腫瘍)の尿道標本に対して、competitive reverse transcriptase polymerase chain reaction (RT-PCR)をおこなった。尿道標本は近位尿道から遠位尿道まで3-4分割にして、各部位におけるエンドセリン受容体の半定量を行い、その差異を検討した。作成したprimerは下記の通りである。 sense antisense PCR products ET_A : ctctgcgctcttagtgttga acgctgcttaagatgttc 378bp ET_B : aatggacagcagtagaaattg gaccaggcaaaagacggttttgg 333bp preproET-1: tctacttctgccacctggacat ctcggttgtgggtcacataa 446bp またcompetitorはTAKARA Competitive DNA constructin kitを使用し、ET_A, ET_B, preproET-1に対してそれぞれ288bp, 244bp, 342bpのcompetitorを作成した。 なおin situ hybridization probeも上記のantisenseをAlexa Fluor 488でラベルし、型のごとく45℃で14時間hybridizationを行い共焦点レーザー顕微鏡にて局在を検討した。 【結果】:いずれの尿道部位でもET_A, ET_B, preproET-1ともほぼ一定で3×10^5〜10^6 competitor量(copy)であった。in situ hybridizationでは尿道の平滑筋全層にET_A, ET_B, preproET-1が認められ、サブタイプによる局在は見られなかった。 【結語】:ヒト尿道各部位のエンドセリン受容体のサブタイプ(ET_AとET_B)並びにpreproET-1の量はいずれもほぼ同量であり、かつ、部位による差異は見られなかった。即ち、全尿道におけるエンドセリン受容体のサブタイプはAとBともほぼ同じ部位にほぼ同量存在すると思われる。
|