研究課題/領域番号 |
12671540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
井上 啓史 高知医科大学, 医学部, 講師 (00294827)
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研究分担者 |
執印 太郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (80179019)
鎌田 雅行 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90304683)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
2000年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 血管新生 / 腫瘍増殖 / 転移 / 移行上皮癌 / VEGF / bFGF / IL-8 / 膀胱移行上皮癌 / 浸潤 |
研究概要 |
膀胱移行上皮癌の腫瘍発育における線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インターロイキン8(IL-8)の経時的発現変化を検討した。 ヒト膀胱移行上皮癌細胞株253J-Pを親株とする高腫瘍形成能、高転移能を有する変異細胞株253JB-Vより、bFGF、VEGF、IL-8各々の高発現および低発現を示す特異的クローン細胞株6株を獲得した。これら各細胞株の膀胱同所移植モデルを作製し、経時的な腫瘍増殖能およびリンパ節転移能を検討した。親株253JB-Vと比較して、bFGFおよびIL-8の局発現クローンは、初期に有意な腫瘍増殖および比較的初期に転移を認め、bFGFおよびIL-8の低発現クローンは全病期において、比較的に腫瘍増殖の抑制、腫瘍数減少、転移の抑制を認めた。VEGFは、全病期において腫瘍形成能、転移能に影響を示さなかった。 各細胞株の各病期での獲得腫瘍における腫瘍内新生血管数(MVD)、各血管新生因子の発現を検討した。親株253JB-Vと比較して、いずれの高発現クローンはMVDおよび各特異的因子発現が有意に増加し、いずれの低発現クローンはMVDおよび各特異的因子発現が有意に減少した。しかし、これらの現象は徐々に減弱し、最終的には、MVD、血管新生因子発現ともに、親株と同レベルとなった。 以上より、膀胱移行上皮癌におけるFGFおよびIL-8の発現は、腫瘍発育のごく初期に重要な意義をもつと考えられた。 これらの結果に基づいて、皮下異所移植モデルにおいて、腫瘍発育の初期よりアンチセンスbFGF遺伝子を導入したアデノウイルスを用いた遺伝子治療を行った。本遺伝子治療によるbFGFの発現低下は、腫瘍細胞および血管内皮細胞のApoptosisを促進し、さらにはMMP-9の発現を抑制し、angiogenesis, tumorigenicityを制御していた。 つまり、bFGFは、癌治療における重要なTargetであると考えられ、特に腫瘍発育の初期におけるbFGF発現制御こそが、膀胱移行上皮癌に対するより効果的な系統的抗血管新生因子治療の中心的役割を担うものと考えられた。
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