研究概要 |
フルバスタチンの免疫抑制作用をin vitroで検討した。ヒト末梢血リンパ球をrecombinant human interleukin-2 (IL2)、phytohemaglutin (PHA)、アロリンパ球で刺激(リンパ球混合培養:MLR)し、その増殖を、培養液中に5,10,50,100,150ng/mlの濃度で添加したフルバスタチンが抑制するか否かを検討した。 フルバスタチンは、IL2、PHAによるリンパ球増殖を抑制する傾向にあったが、統計学的な有意差はなかった。MLRでは、フルバスタチンは濃度依存性に反応を抑制する傾向にあったが、統計学的有意差が得られるか否かはリンパ球の提供者の組み合わせによって異なっていた。 以上より、フルバスタチンは免疫抑制効果をもつが、常用量のCmaxである150ng/mlではその効果は不安定で、安定した免疫抑制効果を得るにはより高い濃度が必要と考えられた。また、リンパ球を直接刺激するIL2やPHAでは抑制が得られず、アロ抗原認識に依存するリンパ球混合培養で不完全ながらも抑制がみられたことは、フルバスタチンがリンパ球の抗原認識に何らかの影響を与えたものと推測された。
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