配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
まず,体外受精胚移植(IVF-ET)において得られた卵胞顆粒膜細胞における,インヒビン(I)・アクチビン(A)・フォリスタチン(F)のmRNAレベルでの発現量と,臨床パラメータとの関連性を検討した.成熟卵が得られた卵胞におけるinihibin α-subunit mRNAは高値を示したが,一方で,受精後に良好胚が得られた卵胞由来のinihibin α-subunit mRNAはそうでない胚由来の卵胞に比べて低値を示した.このことより,inihibin α-subunitの産生が成熟卵にとって必要であるが,必要以上に高値をとると,良好胚産生に対して悪影響を及ぼす可能性が示唆された. 次に,正常月経周期女性と,多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者の卵胞を,同意を得た後に経腟的に穿刺し,卵胞液と顆粒膜細胞におけるI・A・FのタンパクあるいはmRNAレベルでの発現量を測定・比較した.正常月経周期婦人の卵胞においては,卵胞発育に伴い卵胞液中androstenedionが低下し,estradiolは増加を示した.またprogesteroneがほぼ指数関数的に増加していくことが示された.さらinhibin Aも同様に卵胞発育に伴い濃度は増加したが,inhibin B, activin A, Fはいずれも一定の変化は示さなかった. mRNAレベルでの発現量の変化をみると,inhibin α-subunit, inhibin βA-subunitは卵胞発育に伴い増加したのに対して,inihibin βB -subunitおよびfollistatin(FS)の2つのsubtype (FS 288,FS 315)は,いずれも卵胞発育に伴う変化は認められなかった.PCOS患者の単一卵胞においては,mRNAレベルでは,同程度のサイズの正常月経周期女性の単一卵胞と比較して,inihibin α-subunitおよびinihibin βA-subunitが有意に低値を示した.その他の測定項目においては,差異は認められなかった.以上から,PCOSの病態生理に,インヒビン・アクチビンシステムが関与している可能性が強く示唆された.
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