研究概要 |
新たな核内レセプターPregnane X Receptor(PXR)は,リガンドとして複数のステロイドホルモンProgesterone, Dexamethasone, Pregnenolonの他に薬剤などのxenobioticsが知られxenobiotics受容体の一つと考えられている.この受容体の標的遺伝子としては様々な薬剤や内因性のステロイドホルモンを代謝する酵素(CYP3A)が報告されており,PXRを介した新たなステロイドやxenobioticsの代謝調節機構の存在が示唆されている.我々は,本研究において以下の研究結果を得た.まずPXRはそのtarget geneとしてステロイド代謝に重要な役割を持っているCYP3Aの発現を制御しており,高ステロイドホルモン状態である妊娠後期の母体血清中のプロゲステロン濃度でPXRを介した転写が誘導され,妊娠後期にかけて母体肝臓でのPXRの発現が増加したことからPXR-CYP3A系が高ステロイドホルモン状態である妊娠中のステロイドホルモン調節機構の一役を担っていると考えられた.言い換えれば妊娠中の内因性ステロイドホルモン過剰状態から母児を守る防御機構の役割を担っている可能性を示唆している.次にいくつかのEDCがPXRを介した転写を誘導することからEDCの作用機序の一つとして従来知られているエストロゲンレセプターなどの核内受容体に結合する直接的作用の他にPXRを介してステロイド代謝に影響する間接的作用の可能性を示している.またこの転写制御も他の核内受容体と同じようにcoactivator、が関与していると考えられた.さらにPXRは他の核内受容体同様にProteasomeによりturnoverは制御されていると考えられ,EDCはPXR-SUG1結合を誘導せず,PXR蛋白分解を阻害したことから,EDCはPXRのupregulationを介して内分泌機能へ影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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