研究概要 |
[目的]:human papillamavirus(HPV)が頚癌の発癌過程に深く関与していることの疫学的情報を得るため、頚癌羅患率の高い沖縄県において、1)健常婦人のHPV感染率、2)頚部異形成および頚癌組織にhigh-risk type HPV感染率が選択的に高くなっている否か、を多数例について明らかにすること。[対象と方法]:子宮がん検診受診者、および、当院受診者(含む異形成、頚癌患者)から同意を得て、頚部細胞を採取した。採取細胞よりDNAを抽出し、L1 consensus primerを用いたPCRにてDNAを増幅し、電気泳動にてHPVDNAを検出した。HPV陽性例には、型特異primerを用いて型判定を行った。[成績]:1)正常細胞診例のHPV陽性率は10.6%(434/4078例)であり、20才代で20.4%と30才代以降の9〜11%に比較して有意差を認めた(p<0.05)。16,18型の頻度はわずか3.0%であった。2)頚部異形成例のHPV陽性率は64.2%(102/159例)であり、年齢的に有意差はなく、16,18型の頻度は15.7%であった。頚癌例のHPV陽性率は85.6%(415/485例)であり、年齢的に有意差はなく、16,18型の頻度は31.3%であった。すなわち、異形成例と頚癌例のHPV陽性率および陽性例に占める16,18型の頻度は正常細胞診例に比較して有意に高く(p<0.O01)、さらに、頚癌例では異形成例に比較してそれぞれが有意に高かった(p<0.001)。[結論]:HPV陽性率の横断的研究から、HPV,とくにhi4gh-risk type HPVの頚癌発癌への関与が強く示唆された。
|