| 研究概要 |
ヒトのアロマターゼ遺伝子の胎盤特異的発現に関わるタンパク質をyeast one-hybrid法により単離したところ,Drosophilaではグリア細胞の運命を決めるGCMホモログとして報告されていたhGCMaであることが判明し,哺乳類での機能が不明であったこのタンパク質が胎盤特異的な転写因子であることを初めて示した(Yamada, Ogawa et al., J.Biol.chem.274,32279,1999)。ヒトではhGCMaは胎盤のみで発現している。
さらに,ヒトBACゲノムライブラリーのスクリーニングを行ない,hGCMa遺伝子を含むBACクローンを複数得て,この遺伝子構造,染色体上の位置,及び全塩基配列を明らかにした(Yamada, Ogawa et al., Biochem.Biophys.Res.Commun.278,134,2000)。この遺伝子は6個のエキソンと5個のイントロンよりなり,マウスの遺伝子構造とよく似ていた。この遺伝子はHSH法により,第6染色体上にマップされた。
組織免疫染色や,CHP(染色体免疫沈降法)などの免疫学的手法を使うために,大腸菌に強制発現させたhGCMaタンパクに対する特異抗体(ポリクローナル)を作成した。この抗体はヒト胎盤の他にいくつかの血球成分が反応した。ヒトでは少なくとも2つのタイプのGCMが見つかっているので,次にhGCMaタンパクにのみ反応する特異的抗体を作成している。この結果,両抗体の選択により免疫学的手法の利用が可能になる。
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