研究概要 |
我々は、合目的に細胞の移動を決定するケモカインおよびそのレセプタ-に着目し、マウス角膜移植モデルおよびランゲルハンス細胞遊走モデルを用いて検討した。結杲として、マウス角膜移植モデルにおいて、RANTES, MIP1α,MIP1β,MCP1などのケモカインmRNAおよびCCR1,CCR2,CCR5などのケモカインレセプタ-mRNA群が、角膜移植後旱期すなわち抗原認識、提示段階で発現していること、さらに同ケモカイン、レセプター群が拒絶反応発生時にも大量に発現していることが示された。またノックアウトマウスを用いた検討から、これらのケモカインレセプターのうち、CCR1が拒絶反応の成立に機能的に関与していることが明らかとなった。また抗原提示細胞として角膜輪部を中心に存在するランゲルハンス細胞の細胞移動にもRANTES, MIP1α,MIP1βとそのレセプターのCCR5が重要な役割を果たしていることをノックアウトマウスを用いた検討から明らかにした。過去に我々の行ってきた細胞接着因子に関する検討からも角膜移植の拒絶反応の成立には、抗原提示、認識段階の重要性が明らかとなっている。これらのことから抗原認識と提示および拒絶の発生に伴う細胞の移動にケモカインとそのレセプター群が重要な役割を果たしているものと考えられる。 一方、同時にこれらの抗原認識と提示における頸部リンパ節の役割にも注目し研究をすすめてきた。その結杲、頸部リンパ節は、角膜移植の抗原提示、認識、増殖に不可欠であり、予めマウスの頸部リンパ節を除去しておくとで、角膜移植後の拒絶反応が完全に抑制されることを報告した。現在リンパ節や角膜とケモカインの関係について検討中である。
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