研究概要 |
カンジダ・アルピカンス(Candida albicans)は,ヒト真菌症の主要な起因菌である。カンジダ細胞は呼吸代謝の過程で活性酸素を産生していると考えられているが,これまで研究は行われていなかった。 本研究では,カンジダ細胞が産生するスーパーオキシドの化学発光測定法を開発することを第1の目的とした。次に、確立した測定法を応用して,スーパーオキシド産生と呼吸代謝の関係を明らかにすることを試みた。最後に抗真菌剤アムホテリシンB(AmB)の抗真菌活性における活性酸素の関与を調べた。 1.スーパーオキシドの化学発光測定法の開発 いくつかの化学発光剤を調べた結果、ウミホタル・ルシフェリン誘導体・MCLAがカンジダ細胞からのスーパーオキシドの測定に優れていることが明らかになった。カンジダ細胞をりん酸緩衝液に懸濁し,MCLAを加えて化学発光測定装置で測定できた。 2.スーパーオキシド産生と呼吸との関連性 カンジダ細胞の内因的スーパーオキシド産生は非常に低かったが、スーパーオキシド産生剤であるパラコート(PQ)によりその産生が誘導された。呼吸変異株、呼吸阻害剤、呼吸基質などの実験結果から、PQ誘導のスーパーオキシド産生はカンジダ細胞の呼吸能に依存していることが明らかになった。 3.AmBの抗真菌活性における活性酸素の関与 AmBによるカンジダの増殖抑制、致死作用、膜透過性昂進に対するPQの効果調べた結果、AmBの抗カンジダ作用には活性酸素が関与していることが明らかになった。
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