研究概要 |
既に報告されているCGRPの三次元立体構造をもとに独自にCGRP fragmentsの合成を試みバイオアッセイに供したが、特に注目すべき活性を有したペプチドを開発するという目的は達成できなかった。 1)CGRP fragmentsの新規合成およびスクリーニング---ヒトのCGRP_<1-37>, CGRP_<8-37>,CGRP_<19-37>,CGRP_<22-37>,[Cys(Acm)^<2,7>]-CGRPに加えて、CGRP_<1-12>,reverse-CGRP_<1-8>,reverse-CGRP_<1-14>を新規合成した。cAMP産生能などを指標としてスクリーニングを行った結果、CGRP_<8-37>,CGRP_<22-37>,[Cys(Acm)^<2,7>]-CGRPには明らかなagonisticあるいはantagonistic活性があることが判明した。2)生理活性のあるCGRP fragmentsの細胞内情報伝達系に及ぼす影響---骨芽細胞(MG60)においてCGRP_<8-37>には強いantagonistic活性が認められ、CGRP_<1-37>によるcAMP産生などを完全にブロックした。CGRP_<22-37>にも弱いながら同様なantagonistic活性が認められた。また、[Cys(Acm)^<2,7>-CGRPには中程度のantagonistic活性のみならず弱いagonistic活性があった。歯肉線維芽細胞(Gin-1)および上皮細胞(SCC25)においても同様であった。3)生理活性のあるCGRP fragmentsの受容体結合能---蛍光色素で標識したCGRP_<1-37>(FL-CGRP)を用いて結合能の測定した。FL-CGRPは濃度依存性に特異的結合を増加させ、それは非標識CGRP_<8-37>によって競合的に阻害された。しかし、[Cys(Acm)^<2,7>-CGRPによる競合的阻割は明確ではなかった。4)CGRP fragmentsの細胞増殖に及ぼす影響---いずれのfragmentsにおいても有意にMG63細胞増殖に影響を及ぼさなかつたGin-1では、CGRP_<1-37>が弱いながらも有意な増殖促進作用をもつことを確認した。5)CGRP fragmentsのアポトーシスに及ぼす影響---有意なアポトーシス誘導は認められなかった。6)歯周組織におけるCGRP受容体サブタイプの発現状況---anti-CRLRおよびanti-RAMP-I抗体を用いて免疫化学的あるいはウェスタンブロット法により、CGRP受容体サブタイプI発現を蛋白レベルで検出した。
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