研究概要 |
ヒトおよびマウスのDEC1遺伝子をクローニングして、上流約3kbを含む全長約9kbの一次構造を決定したところ,DEC1遺伝子は,5つのエクソンと4つのイントロンから構成されており,プロモータ領域には,3つのE boxを含むさまざまなエレメントが存在することが明らかになった.また,転写開始点付近にはTATAボックスはなく,その代わりに複数のGCボックスが認められた. DEC1遺伝子プロモータから,さまざまな長さの異なる断片を作製し,プロモータ活性測定用ベクターにクローニングして,培養細胞へ導入したところ,-260bpまでを持つクローンに高いプロモータ活性が認められた.さらに,さまざまな転写因子の発現ベクターと共に培養細胞に導入したところ,CLOCK, BMAL1,MyoD, HIF1などでDEC1プロモータの発現誘導が認められた. 次に,さまざまな細胞でのDEC1遺伝子の発現誘導についてmRNAレベルで調べたところ,多くの細胞株で,cAMP添加によってその発現が短時間に誘導されることが明らかになった.誘導されたDEC1 mRNAの発現量はすみやかに低下し,その後再び上昇する傾向が認められた.また,個体レベルでのDEC1の発現量を時間を追って調べ,夜に高く,昼には低い日周期性を持っていることも明らかにした. さらに,軟骨細胞への分化能を持つATDC5細胞株にDEC1 cDNAを安定導入したところ,DEC1の過剰発現株では,軟骨細胞への分化能が高いことが明らかになった.
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