研究概要 |
1.OK-432重合腫瘍ワクチン作製 B16メラノーマ・Sq1979扁平上皮癌・KLN205扁平上皮癌等に対してOK-432をグルタールアルデヒド(GA)を用いて重合しワクチンを作製した.重合条件では0.02%GAでも安全性がみられたが,さらに安全域をとり0.2%GAを重合条件とした.本ワクチンはトリパンブルーで染色され失活していることが確認された.また本ワクチンは抗OK-432抗体で染色され,抗原性が保持されていることが示唆された.B16ワクチン・Sq1979ワクチンをマウス側腹部に接種後,腫瘍チャレンジを行った結果,腫瘍特異的抗腫瘍効果を誘導することが示された. 2.移植舌癌モデルの開発 OK-432重合腫瘍ワクチンの抗腫瘍効果を解析するために,Sq1979およびKLN205の2種類の扁平上皮癌を用いて舌癌実験モデルを作製したところ,後者は移植舌癌モデルに適するが前者は接種可能な最大限の腫瘍細胞数でも腫瘍の自然退縮がありモデルとして適さないことがわかった(Yokohama Med Bull,49,25-33,2002). 3.移植舌癌モデルにける抗腫瘍効果の解析KLN205ワクチンで3回免疫後,KLN205腫瘍チャレンジを行い,24時間・72時間・10日後の病理組織標本を作製したところ,生食群に比べて24時問で腫瘍周囲に著明なリンパ球の浸潤がみられ,ワクチン接種により腫瘍特異的免疫が誘導されていることが推定された.また経時的に標本を作製していったところ,予想に反して必ずしも長時間著明なリンパ球浸潤が見られるわけではないことがわかった.10日目には,全く腫瘍細胞が見られなかった標本も認めたが腫瘍が残存したケースでも,核の空胞変性や核濃縮が見られた(現在,論文作成中). 4.移植舌癌モデルにおけるCTL誘導KLN205ワクチン群・GA処理後のKLN205腫瘍細胞群・GA処理後のOK-432群・OK-432群・生食コントロール群の5群で3回接種後1週間で屠殺,脾臓よりリンパ球を取り出した.MHC処理後のKLN205腫瘍細胞とともに5日問培養し,^<51>Cr release assayを施行した.KLN205ワクチン群では,E/T ratio 40/1で21%の%specific lysisであったがコントロール群では8.5%にとど幸つた。OK432群およびGA処理OK-432群では、ともにコントロール群と差はなかった.GA処理KLN-205腫瘍細胞群はコントロールよりわずかに高い%specificlysisが得られたが,優位の差はなかった(現在,論文作成中).
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