研究概要 |
ヒトの幼若な永久歯から,象牙質と歯髄を含む薄片(象牙質・歯髄複合体試料)を作成し,種々の刺激物質を加えたin vitroの培養系で培養して,その間に生ずる象牙質と歯髄の変化を免疫生物学および病理組織学的手法(分子病理学的手法)を使って経時的に調べ,多くの新たな知見を得てきた.そこで本研究では,これまでに得られた知見をもとに,日常の臨床で用いる種々の修復材や覆髄剤が象牙質や歯髄に及ぼす影響を調べ,これらの材料の新たな検定システムを開発することを目的とした. 分子病理学的解析: 1)細胞増殖能の確認:一部の培養例(3,7,21日培養例)では,培地に5-bromo-2-deoxyuridine(BrdU)を加えてさらに培養し,その後試料を取り出してパラフィン切片を作成し免疫組織学化学的解析を行って,試料中の各種歯髄細胞の増殖能を調べた. 2)各種修復材・覆髄剤による歯髄修復能の検索:培地から試料を回収してパラフィン切片を作成し,一般病理学的検索を行って,使用した各種の修復材・覆髄剤によって歯髄にどのような変化が生ずるかを経時的に検索した. 3)各種サイトカイン産生細胞の同定:培養3,7,14,21,30日後に各サイトカインに対する抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い,各成分の組織内局在を調べた.さらに各サイトカインのcDNAプローブを使用してin situ -PCRおよびin situ RT-PCR法を行い,各サイトカインmRNAの発現細胞を最終的に同定しつつある.
|