研究概要 |
コンポジットレジンおよび接着性レジンのベースモノマーとして、全体の物性を低下させる惧れのある希釈剤モノマーを用いない、低粘度のモノマーを開発し歯科応用することを目的として研究を行った。bis-GMAの中心骨格部分の炭素数が1〜2小さいモノマーとして、ビス-フェノールAD型エポキシモノマーのメタクリル酸誘導体である、1,1-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイロキシプロポキシ)フェニル]エタン(以下、モノマーI)および関連化合物としてビス[4-(2-ヒドロキシ3-メタクリロイロキシ-プロポキシ)フェニル]メタン(以下、モノマーII)を合成し,これらのモノマーの粘度を調べ、続いてこれらのモノマー単独の重合体およびこれらのモノマーを用いて試作した光重合型のハイブリッド型フィラーを用いたコンポジットレジンについて諸物性を調べた結果、以下の結論を得た。 1)モノマーIおよびモノマーIIは、bis-GMAに比べて極めて小さな粘度を示した。 2)モノマーIおよびモノマーIIは、通常の光重合開始剤系で重合硬化させることが可能であった。 3)モノマーIの重合体は、bis-GMA+TEGDMAの混合モノマーと同等の機械的強度を示したが、モノマーIIの重合体はやや小さい機械的強度となった。 4)ハイブリッド型フィラーを用いて光重合型コンポジットレジンを作製することができた。 5)試作したハイブリッド型コンポジットレジンは、bis-GMA+TEGDMAの混合モノマーと同程度の機械的性質を示した。 以上のことから、モノマーIは、コンポジットレジンや接着剤のベースモノマーとして有望であると結論される。
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