研究概要 |
1.ヒト臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)は、その細胞膜上に恒常的にFax抗原を発現していた。 2.その結果、抗Fas抗体(CH-11)の処理によってアポトーシスが誘導された。 3.HUVECと末梢血好中球を混合培養の条件下で抗Fas抗体処理するとアポトーシスが誘導され、相互の細胞接着が抑制された。 4.アポトーシスの進行に伴って好中球のCD11bとCD18の発現減少がみられたが、HUVECのCD54の発現変化は僅かであった。 5.従って、Fas誘導アポトーシスにおける好中球と血管内皮細胞の接着の減少は好中球の細胞膜上の接着分子の発現減少に依存していることが示唆された。 6.ケモカイン(FMLP, C5a, LTB4, IL-8)や炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-alpha)は、この現象を抑制したことから急性炎症巣において好中球機能の発現の維持に関与していることが示唆された。 7.一方、NSAIDsはこの現象を亢進したことから新たな抗炎症作用の機序のひとつと考えられた。
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