研究概要 |
歯周組織改造機構を解明する上で、歯根膜組織とその基質分解に寄与するMMPsに着目し、メカニカルストレスによる歯周組織改造機構における歯根膜細胞の果たす役割を明らかにすることを目的としてMMPsの発現とその制御機構を検討した。その結果、以下のような知見を得た。 1.代表的なコラゲナーゼ(MMP-8,13)とゼラチナーゼ(MMP-2,9)のcRNAプローブを作成した。MMPsの遺伝子の発現とその局在をin situ hybridizationにより検討するため、6週齢ラットに矯正力を負荷し歯の移動を行った。その結果、MMP-2は歯の移動2日目においては、圧迫側歯根膜に強く発現が認められたが、硝子様変性部位には認められなかった。MMP-8は、歯の移動2日目では圧迫側に強く発現した。MMP-9は対照群も歯の移動群も破骨細胞にのみ発現していた。MMP-13は歯の移動群では4日目に圧迫側で強い発現が認められた。すべてのMMPsの発現は一過性であり、歯の移動14日目で対照群と同様な発現パターンに戻った。 2.ヒト歯根膜細胞のMMP-1,2,9,MT1-MMP, TIMP4,TIMP-2,TIMP-3の遺伝子発現について検討した。周期的伸展刺激負荷後もしくは圧縮力負荷後に、total RNAを抽出し、半定量的RT-PCR法により遺伝子発現を解析した。MMP-9の発現は見られなかった。プロスタグランジンを添加するとメカニカルストレス負荷時と同様な変化を示した。またプロスタグランジン合成酵素の遺伝子発現パターンを調べると、inducible enzymeであるCOX-2の遺伝子発現の上昇が認められ、COX-2を介するプロスタグランジンの合成が推測された。c-fos mRNAの30分をピークとする一過性の上昇が認められ、6時間後にはもとのレベルに戻った。
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