研究概要 |
しそ油には、魚油中に含まれる抗動脈硬化・抗炎症作用のあるEPAやDHAの前駆体となるα-リノレン酸が60%含まれており(他の植物油はせいぜい8%止まり)、今まで経験的にアフタ性口内炎に対し予防効果があるこが知られている。そこで月に1回以上アフタ性口内炎を起こす成人(43名;男性11名、女性32名、平均年齢43±13才)を対象に、しそ油の予防効果について検証した。 研究はじめの4ヶ月間は条件をそろえるために、サラダ油(大豆油と菜種油の混合油)を使用してもらい、また脂質の摂取をおさえるよう食事指導を行った。その後、二重盲験法にて二群(しそ油群、大豆油群)に振り分け、各被験者に口内炎の発生状況を8ヶ月間にわたりカレンダーに記載してもらった。 赤血球膜中のりん脂質脂肪酸組成では、両群間に有意差はなく、また口内炎の個数、1個あたりの平均日数でも両群間に有意差はなかった。月平均の発生個数では、両群で有意差はなかったものの、両群全体では小型(1.8±1.2→1.4±1.0,P<0.005 paired-t test)、中型(0.7±0.6→0.5±0.5,P<0.05paired-t test)と全体(2.8±1.3→2.0±1.3,P<0.0001paired-t test)の個数がで減少していた。理由としては、(1)食事の介入を施行したことで、全体で脂質の摂取が減った(-10.0%,P<0.05paired-t test)(2)菜種油をとらなくなった(3)プラセボ効果?などが考えられた。今後はcontrolを菜種油として再検討する必要がある。
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