研究概要 |
鹿児島県十島村(トカラ列島)のような無歯科医師離島地域では,地理的な条件に加えて住民の高齢化が進み,住民が移動して歯科治療を受診することが困難な状況になりつつある.したがって,これからの巡回歯科診療には,従来から行われてきた暫間的応急的な診療ではなく,長期間口腔内で機能する補綴修復処置が求められている.また,高齢者に限らず住民の多くは,より本格的な歯科治療を切実に望んできたのも事実である.しかしながら,巡回診療では器材の運搬輸送や治療時間が著しく制限されるため,一般の歯科医院で行えるような補綴修復処置を行うことは困難である場合が多い.そこで,本研究では,このような目的にかなう新しい補綴術式の開発を試みるとともに,巡回診療に適した診療用器材の試作や輸送方法の検討などを行って,離島巡回歯科診療システムの改善を試みた.その結果、以下の検討項目において巡回診療に有用な成果が得られた.また,これらの成果は,都市部での在宅訪問歯科診療にも十分応用できるものと考えられた. 1.巡回診療に適した義歯修理システムの構築 2.巡回診療用多目的サンドブラスターの試作と性能評価 3.クラウン再装着時の支台歯表面処理法の評価・改良 4.支台歯形成後の象牙質切削面の感染防止用コーティング法の開発 5.インダイレクトコンポジットレジンの基礎的・臨床的評価 6.接着ポンテック・ブリッジの接着耐久性を向上させる接着補強法の評価 7.運搬手段と診療器材の改良
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