研究概要 |
Streptococcus mutans及びStreptococcus sobrinusとウ蝕、歯周炎においては、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermediaが、限局性若年性歯周炎では、Actinobacillus actinomycetemcomitansが、その発症と進展に密接な関係を示すことが報告されている。 本研究は,異なった口腔環境の小児の歯肉縁上プラーク中における齲蝕原性細菌及び歯周病原性細菌の存在を調査することである。臨床的パラメーターは,df歯数,DMF歯数,PMA index, Oral hygine index及び口臭値を通法に従い測定した。歯肉縁上プラーク中の齲蝕原性細菌のStreptococcus sobrinusの検出は,抗血清を使用しELISA法により行なった。その結果,齲蝕罹患児と非齲蝕罹患児の比較において,齲蝕罹患児は,df歯数及び口臭値において非齲蝕罹患児より統計学的に有意な差を認めた。また,齲蝕罹患児のStreptococcus sobrinusの検出率は,非齲蝕罹患児よりも有意に高かく,さらに,齲蝕罹患児の口臭値とdebris indexとは相関関係を示した。歯肉縁上プラーク中の歯周病原性細菌(Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Actinobacillus actinomycetemcomitans)は,各菌種に特異的なモノクロナール抗体を用いたimmunoslot-blot法にて検出し比較検討した。その結果,齲蝕罹患児と非齲蝕罹患児の2グループにおける3種類の歯周病原性細菌の頻度は,各々において明らかな違いは見られなかった。Porphyromonas gingivalisの陽性の被検者は,口臭値と相関関係を示した。また,口臭値は,OHIのなかのdebris indexと相関関係を示した。OHIが高いグループでは,歯周病原性細菌の検出頻度は高かった。調査された被検者の3種類の歯周病原性細菌の検出頻度は,年齢との関連性は認めなかった。小児の歯肉縁上プラーク中にPorphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Actinobacillus actinomycetemcomitansが棲息していることが示唆された。
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