研究概要 |
木研究の目的は,CD14,TNF-α,IL-1の遺伝子を調べ,それらの遺伝子型と歯周病の病態,病型およびマクロファージ機能との関連性を明らかにすることである. 成人性歯周炎患(AP)者55名,早期発症型歯周炎(EOP)患者35名,健常者40名,合計130名についてTNF-α,IL-1α,IL-1β,CD14遺伝子の遺伝子型を,PCR-RFLP法より決定した. その結果 1.IL-1A^<-889>アリル1とアリル2のヘテロの遺伝子型を持つ割合は健常者群と比べ,歯周病患者群で高い傾向があり,EOP群では健常者に比べ,統計学的に有意に高かった. 2.コンポジット遺伝子型すなわちIL-1A^<-889>,IL-1B^<+3953>共にアリル1とアリル2のヘテロの遺伝子型を持つ割合は健常者群と比べ,歯周病患者群で高い傾向があり,EOP群では健常者に比べ,統計学的に有意に高かった. 3.その他の遺伝子型の分布については,患者群と健常者群,および,病型間に有意な相違は認められなかった. 4.遺伝子型とマクロファージ機能(LPS刺激による末梢血単核球からの,TNF-α,IL-1α,IL-1β,分泌型CD14の産生量,および,フローサイトメトリーによるマクロファージ上のCD14の発現強度)との関係に認められなかった. これらの結果より,早期発症型歯周炎の発症頻度がIL-1の遺伝子型間で異なることが明らかとなり,IL-1の遺伝子型は日本人における早期発症型歯周炎を含む歯周病のリスクマーカーとして,有用であることが示唆された.
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