研究概要 |
骨再生誘導(GBR)法によって増生させた新生骨(石灰化骨)に対する骨粗鬆症薬であるイプリフラボン(IP)の効果を組織形態学的に検討した。日本白色ウサギ雄15羽,内径8mm,高さ4mmの半円球状のチタンキャップおよびIPを1%ヒドロキシプロピルセルロース(HP)溶液で10mg/mlに調整し,実験に用いた。全身麻酔後,左右頭頂骨を露出させキャップ2個を設置し,GBRを行った。実験期間中IPを投与しないHP群,GBR後から毎日IP(10mg/kg)を投与するPost-IP群および実験期間中毎日IP(10mg/kg)を投与するPre-IP群にウサギを分けた。3ヵ月飼育後,各群片側のキャップを除去し,さらに1ヵ月飼育した後,安楽死させた。キャップを除去しない方をコントロール側,除去した方をテスト側とした。非脱灰研磨切片を作製後,塩基性フクシン・メチレン青二重染色し,キャップに対する新生組織および新生組織に対する石灰化骨の割合について計測し,統計処理した(P<0.05)。 全群のテスト側においてコントロール側よりも新生組織の割合が減少する傾向を示した。HP群ではコントロール側において新生組織の割合が93.8%±4.6%,テスト側において73.9%±3.7%であり,統計学的有意差が認められたが,Pre-IP群およびPost-IP群では有意差が認められなかった。各群の新生組織の面積に対する石灰化骨の割合は,コントロール側においてHP群では28.9%±2.9%,Post-IP群では25.7%±1.8%,Pre-IP群では36.2%±0.9%であり,それぞれの群間で統計学的有意差が認められたが,テスト側間およびコントロール側とテスト側との間に有意差は認められなかった。 以上のことから,IPは,GBR法によって増生させた石灰化骨形成に促進的に作用し,キャップ除去後の新生組織吸収を抑制することが示唆された。
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