研究概要 |
セルローズの熱分解によって10%程度得られるビシクロ[3.2.1]オクタン型骨格を持つ(-)-レボグルコセノンは立体化学的に偏った構造上にエノン部とマスクされたホルミル基と1,2-グリコール部を持つ立体制御の容易な化学的機能性の高いキラル分子である.これをキラル素子として有効に活用する試みはなされているものの低収率,(-)-体のみに限定されていること,分子内アセタール部が化学的に安定すぎる,ことから十分な活用がなされていなかった.本研究では先ずレボグルコセノン両対掌体の合成法を検討し,酵素化学的手法を用いて達成することに成功した.一方レボグルコセノンの持つ過分の安定性を制御出来る等価体の合成を行い,本素子の持つ機能性と本質的なコンベックス面選択性を反映させて,8種のアルドヘキソースの完全ジアステレオ制御合成およびノビオースの合成を完成することが出来た.またカラバル豆アルカロイド,フィゾスチグミンおよびフィンベニンの合成をそれぞれ達成した.さらに基質の持つ立体および化学的特性にメタセシス反応の特性を加えて,フェブルフジン,シキミ酸およびシュウドモニックアシッド類の合成を達成することに成功した.
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