研究概要 |
1.先にその初の合成に成功している含テルル7員複素環,1-ベンゾテルレピン類の反応性を検討し,このテルレピン類から1-ベンゾスタネピン類,1-ベンゾスチベピン類および1-ベンゾシレピン類への誘導に成功した。これは,当研究課題であるテルル原子を含む複素環の反応性の解明のひとつであり,テルル?リチウム交換反応を効率良く利用したものである。本法によりこれら7員複素環化合物の新しい合成ルートが開けた。 2.上記項目の1-ベンゾテルレピン類合成の展開のひとつとして,この手法を他の元素に応用して,ごく最近,新規なリング・システムである1-ベンゾスタネピン類の合成に成功した。そこで,その一般化を計るとともに,その反応性を検討した。その結果,スズ原子の大きな特徴であるスズ-金属交換反応を利用して,1-ベンゾスチベピン類への変換を計るとともに新規な7員複素環である1-ベンゾボレピン類への変換にも成功し,その芳香属性についても言及した。 3.6員ヘテロ芳香族カチオンであるテルロピリリウム塩およびセレノピリリウム塩の化学解明にも着手し,1-ベンゾセレノピリリウム塩の簡便な一般合成法を見いだした。 4.上記項目の知見を元に,本化合物の化学的反応性を解明すべく,求核剤との反応性を検討し,各種の置換セレノクロメン類の合成を行った。 5.簡便かつ実用的な一般合成法を確立している1-ベンゾセレノピリリウム塩の反応性解明の一環として,グリニヤール試薬との反応を検討した。その結果,2,4-ジ炭素官能基置換のセレノクロメン類が合成でき,さらにこれらを対応するピリリウム塩に誘導した。 6.上記項目のテルルアナログである1-ベンゾテルルピリリウム塩については,同様なルートによる合成はできなかった。そこで別経路を探索した結果,テルロクロモン類とのグリニヤール試薬との反応により4-ヒドロキシ体を経由することで,2,4-ジ炭素官能基置換1-ベンゾテルルピリリウム塩の一般合成法として,確立することができた。 7.上記項目の位置異性体である2-ベンゾテルロピリリウム塩は,当研究代表者が最近その合成に成功したリング・システムであり,そのセレンアナログを含めいくつかの誘導体を合成した。加えてその単結晶X線構造解析を行い,その構造についても言及した。
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