研究概要 |
抗酸化活性を示した6種の食用植物と薬用植物エキスから,93種の化合物を分離・構造決定した.また,それらのうち30種のフェノール1類と43種の茶葉から得たポリフェノール類にロダン鉄法による抗酸化試験を行い,57種にα-tocopherolよりも強い活性を見出した.さらに,それらの中で34種にI型アレルギー治療薬開発のためのスクリーニング法として用いられるヒアルロニダーゼ活性阻害試験を行い,21種にtrnilastより強い阻害効果を確認した.。特に,3種はdisodium chromoglycateよりも強い活性を示した.本研究から得られたヒアルロニダーゼ活性阻害効果と化学構造との相関をまとめると,catechol構造を有する化合物に強い阻害効果を示す傾向が見られた.また,flavonoid類では,アグリコンが対応する配糖体より強い活性を示し,caffeoyl qunic acid誘導体では,qunic acid残基のカルボキシル基が遊離状態のものが,メチルエステル体よりも強い阻害効果を示した.茶ポリフェノール類のproanthocyanidin類では上部ユニットのB環がcatechol構造のものに、pyrogallol構造のものより強い阻害効果が観察された.また,この阻害効果は下部ユニットの3位がgalloyl基でアシル化されると上昇した.さらに,theasinensin類においても,3位に詰合するgalloyl基の数が増加するに伴い,阻害効果は上昇した.本研究結果から,B環がcatechol構造を有するflavonoid, caffeoyl quinic acid誘導体,ならびにgalloyl基の結合したproanthocyanidin類とtheasinensin類が,I型アレルギーを軽減させる可能性が示唆された.
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