研究概要 |
DNAからt-RNAへの転写はベクターのリラックス状態に非常に依存していることがわかっている。スーパーコイル状態ではベクターの転写は起こらないことがわかっている。スーパーコイルをリラックスさせるのにはZ-DNAか大きな役割を果たしている。さらにZ-DNAの構造は周囲の金属イオン濃度、金属イオンの種類、ポリアミン濃度、ポリアミンの種類に依存する。私たちは7種類のポリアミンを塩にしd(CG)_3と複合体の結晶化を行いすべての結晶化に成功しすべて1.0Å以上の非常に高い分解能のデータを得ることができた。その結果N^1-[2-(2-Amino-ethylamino)-ethylamino]-ethyl}-ethane-1,2-diamineというポリアミンが左巻きZ-DNAマイナーグループに2本がきっちりと入りZ-DNAを安定化していた。このように常温で2本のポリアミンがZ-DNAのマイナーグルーブに結合しているのをX-線結晶構造解析で明らかにしたのは世界ではじめてである.私たちは生体内に存在するthermine N^1-[3-(3-Amino-propylamino)-propyl]-propane-1,3-diamineというポリアミンとd(CG)_3を複合体にし結晶化して1.0Åという非常に高分解能で,X-線結晶解析した結果このポリアミンもZ-DNA d(CG)_3、分子のマイナーグルーブにきっちりと2本結合していることを明らかにした.天然のポリアミンが常温でZ-DNAに結合しているのをX-線結晶構造解析法で明らかにしたのは世界ではじめてである.さらに私たちはd(CG)_6という、これまでには世界で成功例のない長鎖のZ-DNAの結晶化に成功しSPring-8でデータ測定をし1.7Å分解能のデータを得ることができた.世界で最長のZ-DNAのX-線結晶構造解析を行うことができた。さらにスーパーコイルをリラックスさせるにはスーパーコイルにZ-DNAを導入する必要がある。そこでB-Z転移の状態を私たちはX-線結晶構造解析によって明らかにしようとしている。そのためd(CGCGCGAATTCGCGCG)にZ-DNAを安定化する、私たちが発見したポリアミンと複合体で結晶を作成しB-DNAとZ-DNAが結合したDNAの結晶の作成を行っており、これに関してはMolecular Dynamics計算に成功したがX-セン結晶構造解析に成功すればB-Z転移点を世界で初めて明らかにする非常に大きな仕事になる。
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