研究概要 |
三次元培養皮膚モデル(LSE-high)を用いて薬物の皮内動態と傷害性の迅速評価を試み,以下の結果を得た. 1.LSE-highの皮膚透過性評価材料としての有用性:(1)物性の異なる7種の薬物を選択し,これらの皮膚透過性をLSE-high,ヘアレスラットおよびヒトで比較したところ,LSE-highを用いることでヒト皮膚の薬物透過性を短時間で簡便に予測することができた.また,透過促進剤を併用した場合,その促進比からヒト皮膚での透過促進効果が予測できた.(2)透過性評価材料にLSE-highを,測定方法に水晶発振子を用いることで皮膚透過性の迅速評価が可能となった. 2.LSE-highの皮膚刺激性評価材料としての有用性:(1)皮膚刺激性に対する角質層の影響をLSE-highを用いて速度論的に解析したところ,皮膚刺激は皮膚中の刺激物質濃度と相関を示し,角質層バリアーが破壊された後に刺激速度は急激に大きくなることが明らかになった.(2)Draize皮膚刺激性試験の代替法として,LSE-highを用いたMTT法の有用性をtoxicokinetics/toxicodynamics相関により評価した.刺激物質の刺激部位中濃度とDraizeスコアーおよびMTT試験の結果は同じEmaxモデルで表すことができた.また,DraizeスコアーおよびMTT試験の結果は良い相関を示し,本方法がDraize皮膚刺激性試験の代替法として有用であることが示された.
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