研究課題/領域番号 |
12672169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
福原 潔 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 室長 (70189968)
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研究分担者 |
宮田 直樹 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 部長 (50114674)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | N-オキシド構造 / 活性酸素 / ヒドロキシルラジカル / 抗腫瘍化合物 / DNA damage |
研究概要 |
ブレオマイシンやアドリアマイシン等の抗がん剤は酸素分子を活性化して抗腫瘍活性を示す。従って、嫌気的条件に保たれている固形腫瘍に対しては充分に作用を発現しない。本研究では固形腫瘍に対して有効な殺細胞作用を有する化合物として、N-オキシド構造に注目し、嫌気的条件下でも効率良く活性酸素を発生して殺細胞作用を示す化合物の開発を行った。N-オキシド構造を有する基本骨格としてはphenazine構造をとりあげ、phenazine di N-oxide誘導体(1)をモデル化合物として合成した。1はNADH存在下、好気的および嫌気的条件下でDNA切断反応が進行した。このDNA切断活性はジメチルホルムアミド存在下では抑制されることから、活性酸素がDNA切断に関与していることが示された。電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリー法により解析した結果、好気的条件下では1電子還元で生成する1のラジカルアニオンは酸素へ電子を渡してスーパーオキシドを生成するのに対して、嫌気的条件下ではN-オキシド構造の脱オキシ反応が進行することから、酸素分子が存在しないとN-オキシド構造からヒドロキシルラジカルが生成していることがわかった。次に、1のヒドロキシルラジカル生成能をさらに増強させることを目的として、N-オキシド構造のペリ位に水酸基を導入した1,5-dihydroxylphenazine di N-oxide誘導体(2)を合成した。電気化学的性質を解析した結果、2は1と比べて還元され易いこと、また、1と同様に還元的に脱オキシ化反応が進行することがわかった。2のDNA切断実験を還元剤存在下、行ったところ、2は好気的条件下、及び嫌気的条件下、1よりもさらに強力にDNAを切断した。嫌気的条件下でのDNA切断活性はジメチルスルホキシド存在下で抑制されることから、嫌気的条件下でのDNA切断反応にはヒドロキシルラジカルが関与していることが示された。これらの結果より、2は1よりもさらに嫌気的条件に保たれている固形腫瘍に対する抗腫瘍化合物として有効であることが明らかとなった。
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