研究概要 |
本研究では主に以下の成果が得られた. 1)薬剤師による情報提供の実態:病院外来患者に対して,健康食品に関する聞き取り調査を行い,そこで情報提供の実際について検討を行った.また,保険薬局での健康食品に関する情報収集と提供の実際について,調査を行った.一方で,情報収集の媒体としてのインターネットに注目し,健康食品販売会社の情報提供の状況を調査した.その結果,患者の健康食品使用状況などの情報を収集する姿勢が,医療者側に不足していること,薬剤師としても,健康食品に関する情報提供に苦慮していること,健康食品取り扱い企業の情報提供は不十分であることなどが明らかになった. 2)がん治療における健康食品:がん細胞の多剤耐性を克服する薬物の検索を行い,既存薬による耐性克服を試みた.また健康食品の一つであるキトサンが,がん細胞のアポトーシスを誘導することを明らかにした. 3)コミュニケーション能力の開発:学部学生を対象に,コミュニケーションとプレゼンテーションの能力を身につけるための実習を行い,その成果を評価した.大学院生を対象に,患者とのコミュニケーション能力を修得するため,病棟において情報の収集と提供を行い,その成果を評価した.その結果,薬学部大学院生の病棟研修の必要性および問題点等を明らかにした. 4)ドーピング相談窓口の設置:アンチドーピング活動を実行している医師集団と協議の結果,相談窓口の開設を企画,実行した.また,障害者スポーツにおける薬剤師の関わり方の実態も調査した.その結果,相談窓口としてのホームページが新聞等のマスコミに取り上げられ,広く知られる事となった.
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