研究課題/領域番号 |
12672224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
安原 一 昭和大学, 医学部, 教授 (70053999)
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研究分担者 |
西村 有希 昭和大学, 医学部, 助手 (40276572)
倉田 知光 昭和大学, 医学部, 講師 (80231299)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | Cytochrome P450 / CYP2C19 / 肝臓癌 / 肝硬変 / 薬物代謝 / 遺伝子欠損 / 酵素欠損 |
研究概要 |
平成12、13年度文部省科学研究費補助金において17例の臓器・組織の一部摘出を受ける患者より自由意思のもと提供された臓器・組織(転移性肝癌8例、肝細胞癌8例、生体肝移植レシピエント1例)を試料として、各種肝疾患と薬物代謝酵素活性の変動に関して代表的なCYP分子種の基質8種を用いて検討した。平成12年度には11例の手術材料(転移性肝癌4例、肝細胞癌7例)について、病態によるCYP酵素各分子種に対する影響を検討した。転移性肝癌試料では、正常部位におけるCYP各分子種の活性は、米国NDRIより供給されたヒト肝プールドミクロソームと比較して、CYP2C19で著明な低値を示し、一方、CYP2D6で約4倍、CYP2C9で約2倍の高値を示した以外は、平均20%から50%程度の低値を示した。一方、原発性肝癌試料では、前述と同様にCYP2C19で著明な低値を示し、約半数の例でほぼ完全な活性の消失が認められた。また、CYP2C9で約2倍の高値を示した以外は、平均20%から50%程度の低値を示した。肝細胞癌患者より提供された試料は、CYP2E1を除き転移性肝癌患者の試料と比較し、若干活性低下が著しい可能性が示された。癌患者で特に変動が著しかったCYP2C19の活性低下に関してその発生機構の解明を目的として、平成13年度に新たに6例の患者より提供を受け詳細な検討を試みた。その結果、6例中3例の試料ではCYP2C19活性の著しい低下が示され、酵素タンパク発現機構に傷害が発生している可能性が示された。そこで、酵素発現の遺伝的欠損の可能性に着目し、CYP2C19遺伝子変異の有無に関して検討を行った。その結果、酵素活性の低下が認められた3例においては、CYP2C19遺伝子中、EXON 5にホモ型の変異が認められた。この事は、癌患者におけるCYP2C19活性の低下が主にCYP2C19遺伝子欠損に由来している事を示しており、癌患者における高頻度の遺伝子欠損の可能性が示された。以上の結果より、担癌患者ではCYP2C19が著しく低下する可能性が高く、癌患者特有の現象そある事が示唆された。また、CYP2C19欠損と発癌の関連性の可能性も同時に示唆された。
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