研究課題/領域番号 |
12672227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伊藤 芳久 日本大学, 薬学部, 助教授 (50151551)
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研究分担者 |
石毛 久美子 日本大学, 薬学部, 講師 (40212873)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 4-hydroxynonenal / amyloid β-protein / 神経細胞死 / 培養ニューロン / 海馬 / 脊髄 / s-allyl-L-cysteine / 切片培養 / HNE / 細胞死 / caspase / PC12細胞 / アミロイドβタンパク質 / s-allylcysteine |
研究概要 |
海馬初代培養神経細胞をもちいて4-hydroxynonenal(HNE)およびamyloid β-protein(Aβ)誘発細胞死の検討を行った。HNE12.5、25、50μMを添加し24時間後にMTT法により細胞生存率を測定したところ、濃度依存的な細胞死が観察された。さらに、プロピジウムイオダイド(PI)とHoechst33342による共染色の後蛍光顕微鏡で観察したところ、HNEの濃度に依存して、PIで染色される死細胞の数が増加した.また、Aβ1または5μMの添加により、同様の細胞死が認められた。HNE誘発細胞死とAβ誘発細胞死を比較検討するために、ニンニクの成分であるs-allyl-L-cysteine(SAC)をHNEまたはAβと同時に添加したところ、HNEの低濃度(12.5μM)で、軽微な細胞死抑制傾向を示したが、高濃度HNE(50μM)による細胞死には影響を及ぼさなかった.Aβ誘発細胞死に対して、SACは濃度依存的な細胞死抑制作用を示し、1または10μMの添加では、コントロールレベルまで回復した。このことから、HNEとAβは、異なるメカニズムによって細胞死を引き起こす可能性が示唆された。次に海馬および脊髄の切片培養系においてHNE誘発神経変性および細胞死について検討した。海馬および脊髄切片培養系においてPIを用いた顕微鏡-光学的手法で、HNE誘発細胞死を調べたところ、HNE25-100μMの単独の暴露では顕著な細胞死は認められなかった.脊髄切片において、グルタミン酸ナトリウム(Glu)2.5および5mMの暴露は灰白質において顕著な細胞死を引き起こしたので、HNE50μMとGlu2.5mMの併用の効果を検討したところ、非常に激しい細胞死が脊髄全域にわたって観察された。この細胞死に対し、z-VAD-fmkは、海馬初代培養系の場合と同様に、濃度依存的な細胞死抑制効果を示した。以上の結果より、HNEは海馬初代培養系では、単独で細胞死を引き起こすが、切片培養系では単独では顕著な細胞死を引き起こさないこと、また脊髄切片培養系においてはGluとHNE共存により相乗的な細胞死が引き起こされることが明らかとなった。さらに、この細胞死には少なくとも一部はcaspaseを介している可能性が考えられた。
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