培養Chang肝細胞を用いてMDR3mRNA発現に与えるphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)の影響を検討し、PMAがMDR3発現を時間及び濃度依存的に低下させることを見出した。PMAの作用はprotein kinase C(PKC)の選択的阻害剤で抑えられることから、MDR3 mRNA発現はPKCによって低下することを示した。 MDR3 mRNA発現はdoxorubicinによって誘導されることを示した。DoxorubicinによるMDR3 mRNA発現誘導は、活性酸素種の消去剤によって拮抗されることから、doxorubicinによって産生される活性酸素によってMDR3発現を誘導させると考えられた。また、この誘導効果は、PMAによって減弱することを見出した。 MDR3 mRNA発現はtumor necrosis factor alpha (TNFabha)の持続的な刺激によっても濃度および時間依存性に低下すること、この低下はmitogen-activated protein kinase (MAPK)kinase阻害剤及びPKC阻害剤で拮抗されることを見出した。さらに、PMAによるMDR3 mRNA発現低下もMAPK kinase阻害剤で拮抗されることを見出した。これらのことから、TNFalphaによるMDR3 mRNA発現低下はPKC、MAPKを介する情報伝達系を介して起こることが示唆された。MDR3 mRNAはforskolinによって発現低下し、protein kinase A阻害剤で回復されることからprotein kinase AもMDR3 mRNA発現に対して負の調節的に働くことを見出した。
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