研究課題/領域番号 |
12672236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
保嶋 実 弘前大学, 医学部, 教授 (90142934)
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研究分担者 |
庄司 優 弘前大学, 医学部, 助教授 (10226300)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 遺伝子多型 / 高血圧 / RFLP / 腎障害 / 慢性糸球体腎炎 / 糖尿病性腎症 / ACE I / D多型 / Y染色体Alu反復多型 / 連関解析 / 内皮型NO合成酵素 / 一塩基多型(SNPs) / アンジオテンシン変換酵素 / 遺伝子相互作用 / 縄文系 / 弥生系 / Glu298Asp / 4b / a多型 |
研究概要 |
内皮型一酸化窒素合成酵素(ecNOS)は降圧系を代表する分子であり、その遺伝子多型は循環器疾患や腎疾患の遺伝的要因となりうる可能性が示唆され注目されている。本研究では横断的連関研究により、血圧の個人差、高血圧、および腎障害におけるecNOS遺伝子多型の病態的意義を検討した。 【方法1】I.血圧調節に影響をおよぼす薬剤の投与を受けていない一般地域住民617例(男性214例、女性403例、平均年令51.0±15.6才)を対象とし、ecNOS Glu298Asp多型遺伝子型別による坐位での血圧値を比較した。II.高血圧183例(男性83例、女性100例、平均年令56.9±9.6才)、正常血圧193例(男性67例、女性126例、平均年令54.4±11.9才)において各群のecNOS 4b/a多型およびGlu298Asp多型の遺伝子型の頻度を比較した。III.血液透析中の糸球体腎炎(CGN)112例(男性57例、女性55例、平均年令51.4±13.0才)および糖尿病性腎症(DNHD)69例(男性43例、女性26例、平均年令61.1±9.4才)と健常者193例(前述)を対象とし、各群の遺伝子型の頻度を比較した。各対象者の末梢血よりDNAを抽出し、ecNOS 4b/a多型の遺伝子型を特異的プライマーを用いたPCR法により、Glu298Asp多型の遺伝子型をRFLP法により決定した。さらに、I.ではアンジオテンシン変換酵素(ACE)I/D多型と、I.およびII.の男性ではY染色体Alu反復多型(YAP)とecNOS 2多型との連鎖について検討した. 【成績】I.ecNOS Glu298Asp多型遺伝子型による拡張期血圧には差はなかったが、ecNOS Glu/Glu群では134.5±20.5/81.1±12.1mmHg、Glu/Asp+Asp/Asp群は138.7±20.2/81.5±11.9 mmHgで、Glu/Glu群の収縮期血圧が有意に低値であった(p<0.05)。II.高血圧群におけるGlu/Glu、Glu/Asp+Asp/Asp遺伝子型の頻度は76.0、24.0%であり正常血圧群より有為にGlu/Asp+Asp/Asp遺伝子型にシフトしていた(p<0.05)。III.CGN+DNHD群における4b/a多型の遺伝子型はb/b84.0%、b/a+a/a16.0%,Glu298Asp多型の遺伝子型はGlu/Glu83.4%、Glu/Asp+Asp/Asp16.6%で、各々健常者と差はなかった。ecNOS 2多型はCGNおよびDNHD各々とも連関が認められなかった。また、ACE I/D多型と異なり、YAPとのあいだにecNOS 4b/a多型は連鎖不均衡を示した. 【結論】ecNOS Glu298Asp多型は収縮期血圧の個人差に関与している可能性があり、かつ、高血圧とも連関が認められた。しかし、ecNOS遺伝子Glu287Asp多型および4b/a多型は終末期糖尿病性腎症および糸球体腎炎とは連関が認められなかった。ecNOS遣伝子Glu287Asp多型は高血圧の遺伝子マーカーとなりうる可能性がある。
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