研究課題/領域番号 |
12672250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村田 満 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50174305)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 血栓症 / 遺伝子多型 / 心筋梗塞 / 脳血管障害 / RISK FEACTORS |
研究概要 |
本研究は、血栓形成因子のなかで、最近提唱されている遺伝的危険因子(遺伝子多型)に着目し、候補遺伝子アプローチ法にて血栓症との関連について日本人のデータを蒐集し、個人個人の疾患予測のための遺伝子診断システムを構築することを目的とした。研究の前半で患者の蓄積と検体採取、臨床所見、検査値の整理を行い、ついで主に血小板受容体の遺伝子タイピングを中心に研究を進めた。その結果、血栓形成の初期段階を決定する重要分子であるvon Willebran因子の受容体(GPIb/IX/V)に新たな遺伝子多型を発見し、多型が受容体機能に与える影響を報告した。ついで研究期間の後半では、血小板機能に重要な血小板活性化因子受容体(PAF receptor)やPAF-3cetylhydrolaseの多型についても検討した。PAFを血小板に添加すると遺伝子型AAに比べDDではその凝集能が弱く、この多型の血小板機能への関与が示唆された。タイピングの結果、日本人におけるPAF-R遺伝子多型の出現頻度は、wild typeのホモAAが約75%、ヘテロであるADが23%、mutantのホモDDが3%であることが明らかになった。さらにPAF-AH遺伝子多型(Val279Phe)と血小板機能との関連、および虚血性脳血管障害患者(CVD)と健常者における出現頻度について検討を行ったところ、PAF-AHの酵素活性は、PAF-AH遺伝子多型と対応し、PAF-AH遺伝子多型(Val/Phe)は、PAF-AHの血小板活性化抑制作用を減弱させた。また日本人集団ではPAF-AH遺伝子多型とCVD発症との間に有意な関係あることが示された。両者の関係が血小板活性化抑制作用によるものか、酸化リン脂質の分解による抗動脈硬化作用によるものかについては、更なる検討が必要であるが、欧米における血栓症の主要な危険因子であるAPC抵抗性が我が国には存在しない一方、PAF-AH遺伝子多型のように我が国独自の危険因子の候補が発見された意義は大きい。また虚血性脳血管障害の多型-疾患関連研究として、Connexin37遺伝子多型C1016Tについても検討した。脳血管障害患者ではT alleleの頻度が有意に多く、この多型は脳血管障害の危険因子となり得るが、高血圧を介した機序が推測された。3年間の研究で得られたこれらの成果は今後の血栓症リスクの遺伝子診断を考える上で非常に貴重な知見を提供したといえる。
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