研究概要 |
我が国では,現在10,000以上の病院が存在し,その中で毎月,看護部署毎にナース勤務表が作成されている.勤務表は通常,看護師長か看護主任が作成するが,スタッフ・ナースの労働負荷を考慮しながら,適切な人数とスキルレベルのナースを各シフトに割り当てなくてはならない.さらに,早期退職者を出さないように,休日希望や勤務希望といった個々の要望も組み入れなくてはならない.よって,解くのが非常に困難な組合せ問題となっている.また,この勤務表作成自動化への要望はかなり以前からあると言われている. 本研究では,この勤務表作成問題(ナース・スケジューリング問題)の数理モデルを示し,この問題を解くメタ・ヒューリスティック・アプローチを構築した. 現実のデータに対して有効な解を与える(勤務表を作成する)ことにより,我々のアプローチの有効性を示した.また,我々の提案するモデルは,日本国内の病院だけでなく,海外の病院にも適用できると考えられる.我々のアプローチの拡張としては,勤務者のスキルレベルを考慮しなければいけない勤務表作成問題(例えば,サービス業における正社員とアルバイト学生の勤務表や,医師の当直勤務表)が挙げられる. また,我々はコンピュータ操作に惑わされることなく勤務表を編集できる支援システムのプロトタイプを開発し,現場で利用してもらうことによりその有効性を確かめた.
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