研究分担者 |
森 一恵 大阪府立看護大学, 教授 (10210113)
真鍋 芳樹 香川医科大学, 医学部, 講師 (40181812)
田中 輝和 香川医科大学, 医学部, 教授 (20155146)
金正 貴美 香川医科大学, 医学部, 助手 (00335861)
杉本 知子 香川医科大学, 医学部, 助手 (00314922)
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研究概要 |
平成12年度は香川県K病院においてPBSCTを行った患者12名のうち6名から入院から退院の過程で,半構成的インタビューを行い,記述的研究として6つの質問を行った。研究期間は2000年4月から2001年1月,2人の看護職者が患者と施設の許可を受けた上で一人あたり1回40分のインタビューを4〜6回行った。結果:全ての患者は告知に関しショックを受けた。リスクの高い治療を決断した理由は,生きるためで医師の説明としてこれが現代医療技術の唯一の方法であるといわれたこと。死という現象は自分にとっては実感できない。入院中は希望と不安が交互にあった。退院後は不安はあるが現実に生きる。家族は患者の反応に影響されて似た反応をしているがやや現実的。現代医療技術を信頼し治療の決断は本人に任せるという文化。平成13年度は一般の市民を対象に平成13年7月〜8月,及び悪性造血器腫瘍患者のケアをする専門看護職者を対象に平成13年11月〜12月まで,文化の影響が,生死,ケア,現代医療科学に対して,どのように表現され,リスクの高い治療をする重症な患者のQOLを指針の提案。四国,K市の一般市民20〜60代まで1000名中453名からアンケートの回答を得た。また,専門看護職者300名にアンケートを郵送し109名から回答を得た。倫理的考慮のもとに協力を求めた。Hofstede(1980)の文化の尺度の測定の4つの概念,男性度,対人距離度,不確実性回避度,個人主義度を使って考察し,次のことが明らかになった。上記2件のアンケートより患者や家族は自分の思うことや考えることが自由に医師や看護職者に話せない者が30%以上もおり,医師との対人距離の度合がかなりあり,患者が服従的であった。治療の決断にはかなり家族の影響があった。生きるためには現代医療技術が残された方法と考えていた。しかし,それは不確実性が高く,不安は消えない。看護職者のアンケートでは精神的ケア,コミュニケーションの重要性及び医師と患者・家族,医師と看護職者,看護職者と患者の対人距離を縮めること。現代医療科学を支持する者は一般市民よりも看護職者が多く,医療科学技術にともなう不確実性回避度を縮め,看護職者の抱えている倫理的ジレンマを軽減し,ケアリングのパワーを強化することがQOLの向上に関係することが指摘された。
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