研究概要 |
高所トレーニングは現在,スポーツ選手の間で盛んに行われているが,成功率はあまり高くないという問題点を抱えている.本研究では,その成功率をより高めるための方法論を確立しようとした.その結果,基本的なトレーニング方針としては,常圧低酸素室を利用した「living low, training high」方式が優れていることを示した.また,その具体的なガイドラインを以下のようにまとめた. 1.低所で競技を行うスポーツ選手のためのガイドライン スポーツ種目によらず,1日に30分間程度,週に3回程度,期間は3週間程度が最も成功率が高い.高度は2000〜2500mが適当であるが,高所適性の高い者では3000m以上としてもよい.運動様式は,その種目そのものを行うのが最も良い.運動強度はできるだけ高強度にする必要があるが,このためには持続型トレーニングよりもインターバル型トレーニングの方が適している. 2,高所で運動を行う登山者のためのガイドライン 1日に10〜14時間程度,週に6回程度,期間は1週間程度が最も成功率が高い(ただし時間の乏しい者では1日に1時間でもよい).高度は4000mを中心に行い,最終的に6000mでトレーニングを行うことがよい.なお睡眠をとる場合には,日中のトレーニング高度よりも2000m低く設定する.運動強度は低強度の方がよい. トレーニングの実施時期については1,2いずれも,目的とする競技会(登山)が行われる直前,すなわちトレーニング科学用語で言う「ピーキング期」や「調整期」に行うことが最も効果的である.
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