研究概要 |
アメリカ合衆国の大都市は、1980年代から郊外の中心地が発展して、小売、金融、娯楽、オフィス機能をもつようになり、都市中心部のCBD(ダウンタウン)とは異なる中心地が出現した。このような郊外中心地はエッジシティとも呼ばれる。そこで,エッジシティの形成過程と構造,そしてエッジシティの出現による大都市圏の地域構造変化を分析するためにジョージア州アトランタを事例にして研究を行った. アトランタの白人人口の北部への移動は,この地域の小売業とオフィス活動を活発にさせ,ショッピング・モールやオフィス・パークの開設をもたらした.1970年から80年代にかけて,アトランタ市を取り囲む環状のインターステート・ハイウェイI-285号とCBDから放射状に延びるI-75号とI-85号沿いにはオフィス・パークとインダストリアル・パークも建設され,アトランタの雇用者数は北部を中心に増加していった. また、アトランタは合衆国南東部の金融,保険,経営・管理,流通,卸売業の中心であり,アトランタ大都市圏だけではなく都市圏の外に対しての管理機能ももっている.そのため,地域を統括する地域本社(regional headquarter)がアトランタの郊外に多数進出した.これらがエッジシティと呼ばれるCumberland-Galleria地区やPerimeter Center地区に立地して郊外の雇用中心地となりながら,郊外のビジネスセンターとなっていった.これら2つの地区には管理経営の中枢機能をもつ地域本社が集中するようになって,これらの企業に対してサービスを行う対事業所向けのサービス業もここに立地するようになった.このようにして,オフィス地区が形成されることになり,アトランタ大都市圏は古くからの中心地CBDと郊外のエッジシティが核となって,複数の核を備えた多核構造に変化した.
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