研究概要 |
土壌水分の情報無しで,乾燥状態下にある地域の蒸発量を求めるモデルを作成した.モデルを検証するためにベリアタイガ林,シベリアツンドラ地域,チベット,タイ季節林のフラックスステーションの潜熱フラックスより算出される蒸発量データ,流域蒸発量のデータ,世界の河川流出量データから流域スケールが200-300km^2程度の流域を選択し,その流量データと同流域内の降水量データより算出された流域蒸発量を比較し,良好な結果が得られていることが確かめられた.一方,さらに詳細な検証として,タイの複雑地勢シベリアのタイガ林,モンゴルの草地の現地観測データを利用し,日蒸発量の実測値とモデル推定値の比較を行った。タイの複雑地勢に関しては,乾期,雨期共に非常によい一致が見られたが,シベリアのタイガ林とモンゴルの草原に関しては,結果はあまり良くなかった.全体として,月から年単位では良い結果が得られるが日単位での精度は場所により異なることが分かった.しかし,良く合わない場合の原因を特定することは出来ず,今後の継続した研究が必要である.また,最終年度として,これまでに得られた結果をレビューし,報告書としてとりまとめた.全体として,学会誌に掲載で来るような重要な結果が得られ,当初予定していた月単位でのユーラシア大陸の熱収支分布が求められた.しかしながら,利用したモデルの精度という点ではさらに短い時間スケールの現象を扱うにはまだ不十分であり,今後の研究が必要と判断された.
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