研究概要 |
本研究は,生活者の意識や行動の変容に対し,生活者の生活の基盤である地域からの情報が,どのような影響を持つかを検討し,有効な情報提供のためには,どのような内容がどのように発信されればよいのかについて,特に,生活者の変容の視点を,環境配慮意識を高め,環境配慮的行動をおこすということに集約し,地域情報の影響を考察するものである。 まず,環境配慮意識・行動の変容を促すための地域情報として,ごみに関する地方自治体からの地域情報を取り上げ,生活者および発信者である地方自治体の廃棄物担当者に対するアンケート調査をまとめた。その結果,地域の実態を踏まえた,地域の具体的な情報が提供できる自治体の重要性を認識することが大切であるが,情報内容の分析,対象の細分化や,伝達方法の多様化といったことを取り込んでいくことが必要であると考えられた。 次に,ごみに関する地方自治体からの地域情報について,社会心理学の視点から分析した結果,地域情報には生活者の行動の変容をもたらす情報として有為に機能する可能性がありながら,その内容や提供方法などには,いくつかの問題点があることを指摘された。 さらに,持続可能な環境配慮型社会を構築するために,生活者に意識や行動の変容をもたらすための地域情報はどうあるべきかについて,シチズンシップと地域情報,さらには地域情報と環境配慮型社会構築のためのパートナーシップの視点から考察した。その結果,環境配慮型社会の構築は,シチズンシップ教育によって遂行されるものであり,そのために情報,とくに地域情報は重要な役割を担っていると考えられる。 これまで,生活情報を受け取る立場であった受け身の生活者が,生活者自身が生活行動の主体者であるという事実をもとに,主体として活動するためには,今後,地域情報の重要性はますます高まると考えられる。
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