研究概要 |
チャを分類する目的で、照葉樹林帯におけるチャのDNAを抽出し、その分類を試みた。使用したプライマーは、リブロースビスフォスフェートラージサブユニット(rbcL)とマチュラーゼ(matK)を用いて解析した。rbcLの塩基配列は、1307が明かとなった。また、その結果茶は6つのタイプ(CJ, AA, AC, AM1,AM2,AM3)に分類することができた。CJタィプはCamellia sinensis var. sinensis (C.sinensis)であることが明かとなった。AAタイプはCamellia sinensis var, assamicaであった。多くの地域がこの2タイプの茶であった。ヤマチャと栽培種がrbcLでは分類できないことから、次にmatKを用いて解析を行った。その結果、matKDNA断片の塩基配列1は1230でそれを比較するとCamellia sinensisに属する物には、1117番目の塩基がアデニンになっているものとグアニンになっているものに分けられた。1117番目がグアニンになっている物にはCamellia sinensis var. assamicaにも認められた。また、日本に存在する伝説のチャについて、同様の解析を行った結果、背振山、高山寺、坂本のチャは、rbcLの解析結果からC.sinensisであった。坂本チャは、最澄が天台山から持ち帰った物であろうと考えられた。天台山のチャのrbcLの結果もC.sinensisであった。このことからも伝説の茶は、多くはC.sinensisであった。しかし、現在はどの茶が日本の起原の茶であるかについては、不明である。また、風味成分からの分類を茶成分のカテキンで検討した結果、アッサム種は、中国種に比較して総カテキン含有量が多く、なかでも(-)-エピガロカテキン-3-ガレート、(-)-エピガロカテキン-3-5-ジガレートなどが多いことが認められた。(-)-エピカテキンは、両種に関してあまり量的な変化が認められなかった。
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