研究概要 |
問題づくりを子どもに課すとき,子どもは閉じた文脈から問題を構成する経験の有無及び問題構成の動磯を持っているか否かで,子どもの問題づくりは大きく変わる。授業の実施により,子どもは開じた文脈から問題を作ることは苦手であることがわかった。この原因としては,算数や数学で用いられる教授行動が,教師支持を中心とした子どもの受け身の教授行動であることが考えられる。 子どもたちに「先生になったつもりで問題を作ってごらん」という働きかけを行ったが,教師の役割を持つということについての必要性を子どもが感じることは弱く,子どもに対する動機づけにはさらに工夫を要することがわかった。 問題づくりの状況が上記であることが判明したため,よりパターン化された問題解決のストラテジーをもとに間題づくりの働きかけを行った。すなわち,問題を解決するためには求めるものは何か,与えられたものは何かを考えるというパターンで解決行動を開始することをもとに,求めるものの明記されていない条件だけの文章から問題を考えるという活動を授業として組み立てていった。 実験授業の結果判明したことは,このような働きかけも子どもにとっては経験が浅く十分な問題づくりを達成したという結諭には至らなかった。(したがって問題解決能力の伸長についてはさらに研究が必要である。)しかしながら,この研究で得られたことは、学年の低い子どもであるほど,間題構造,すなわち求めるものの問題文章中での記述についての意識が弱いことである。問題文がなくとも低学年の子どもほどあたかも問われているものがあるかのような反応をすることがわかった。学年が進むにつれて,問題構造についての理解が図れるようになることが予想される。 今後の研究として,問題づくりが問題文のないような状況でいかにして可能となるか,またそれらが問題解決能力の育成に対する関わりはいかなるものかということを研究していく必要があることがわかった。
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