研究概要 |
今日,学級崩壊とか科学技術離れ等の言葉で象徴されるように,学校の本質にまで関係するような現象がでてきている.これらは社会が豊になり,より恵まれた環境の中で生まれてきた現象ではあるが,しかし,その本質は教師がより上手に授業を行えるかどうかに深くかかわっている.しかし,授業研究を考えるとき,その授業の外見的な観察を基にする授業研究は多くの研究者,学校でなされてきたが,この手法の分析では限界にきている.そこで,生理反応を指標とした理科教授学習過程について,研究をおこなった.まず,授業中のクラス全員の皮膚抵抗反応のデータのパワースペクトルと周波数の関係を解析すると,授業に非常に集中して,聞き入っている場合,その勾配は2に近くなり,1に近くなるほど,ざわめき気味の授業であることがいえたが,このとき,その分布がコミュニケーション過程で二山現象がみられた.これは人間の情動情報処理系と認知情報処理系の二重構造を反映していることからきたものと考えられる..また,脳波分析としては(1)インターネット使用時の場合,(2)教授者1入,学習者4人,授業参観者1人の計6人よりなるマイクロ授業,及び,(3)司会者1人,賛成ディベータ2人,反対ディベータ2人,ジャッジ1人の計6人よりなるディベートによる理科授業中の全被験者の脳波は測定をおこなった.脳波測定は1被験者当たり13ポイント.を測定した.これらのデータをもとに分析したところ,脳の活動状況についての有意な知見を得,コミュニケーション分析に,脳波の使用の可能性が実証された.
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