研究概要 |
本研究では,心理学や社会学で提案されてきた評価手法を情報教育向けに改善して,学校現場の取り組みに適用し,その効果の実証を試みた。具体的には,主として,コンピュータやインターネットに対する子どもの態度を評価の視点とした。これは,情報教育の目標体系のうち,情報活用の実践力の基盤であり,かつ情報社会に参画する態度の具体的な現れである。 まず,平成12年度,大阪・岡山・和歌山・香川・広島の小・中学校5校812名を対象として,「メタファ法」「絵画投影法」を主柱とする質問紙調査を実施した。また,各調査対象校を複数回訪問して,それぞれの学校の情報化の現況と情報教育のカリキュラムや授業実践について,聞き取り調査を重ねた。 また,岡山の小学校の児童を対象として,平成13年度にも,平成12年度と同様の調査を実施し,同一集団のメディアに対する態度の変容を確認した。また,子どものメディアに対する態度に情報教育実践が与える影響について考察を深めるために,同校の情報化リーダー教師に分析結果を題材としたインタビューを実施した。 質問紙調査と聞き取り調査の結果によると,情報機器の整備以上に,情報教育カリキュラムの体系化が,子どものメディアに対するアンビバレントな態度の形成に影響を与えていることなどが明らかになった。 それらの結果を踏まえて,1)学校の情報化の意義と限界,2)児童・生徒のメディア接触における個人差,3)メディアへの接触とメディアに対する愛着のギャップ,4)情報社会の光と影に対する指導の重要性という点から,情報教育実践改善の方針・方策を提言した。
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