研究概要 |
3年間の研究は,学校と美術館との連携に関わる分野のうち,(1)美術館での教育活動の実態調査とその課題の指摘,(2)学校教員と美術館学芸員との連携の実態調査とその課題の指摘,(4)学校と美術館での美術鑑賞教育の実践上の課題,(3)学校と美術館との連携を展望するための視座の提案,を中心に行った。以下にその成果を述べる。 (1)実態調査では,いくつかの県立美術館や都立美術館を訪れ,担当者に面接し,資料などの提供を受けた。そうした現場で直面している共通の課題について整理した。また。児童生徒を対象とした美術館のワークショップやギャラリー・トークなどの活動をビデオに撮影して各館の保存資料として提供した。また,北米の事例を美術館へも紹介した。 (2)特に,「アミューズ・ヴィジョン研究会」を中心とする連携促進の活動に参画し,シンポジウムでのまとめをするなど連携の方向を提案した。また,教員や美術館ボランティアに対して,連携のあり方に関する意識調査を行ない,現状認識を知るデータとした。学校での美術館との連携授業に参加し,ビデオに撮影し,研究・実践資料として提供した。 (3)公開講座やいくつかの学校での研修会の講師として,美術鑑賞教育の考え方や事例を紹介し,「アート・ゲーム」など最新の鑑賞指導の普及に努めた.学校や美術館での美術鑑賞活動に対する提案をすると同時に,両者を結ぶ教材を研究し,試作し,授業資料を提供した。 (4)連携の方法論だけに終わらずに,連携の基本的な意義を確認するために,学術研究の対象としての連携問題を展望するためのマトリックスを示し,今後の検討のための一つの視座を提示した。 今後は,収集した資料や撮影したビデオ映像などを分類・整理して,データ・ベースとして活用できるようにしたい。
|