研究概要 |
本研究は,大学生を対象とした英語(外国語)リーディングCALL教材のモデル版を制作するとともに,外国語学習という観点から、学習効果の高いCALLレッスンの設計について研究した。以下の3点がCALL教材の特色であり、紙を使った宿題のプリントやワークシートとの大きな相違点であることが明らかになった。 1)メディア(テキスト,画像,音声)を複合的に利用して、言語理解を促進する補助情報をさまざまな形態で提示することができる 2)情報を階層構造の中に組み入れられるので,学習者へのヒント,フィードバック,解説などの補足情報とメイン情報を区別できるため、学習者が理解の過程で情報の整理がしやすい 3)学習者が好きな部分を好きな順番に自分のペースで学習できる,いわゆる学習者独自の学習スタイルが選択,確立できる 多種のCALLプログラムを利用した学習者のデータを分析し、CALLの使い方(学習スタイル)の多様性,リーディングおよび語彙学習への効果を検証した。最終年度は,プロトタイプとなる教材の続編として英文の難易度が高いリーディングCALL教材を開発した。この教材を使って応用的な学習が可能か,読解の理解度の深さが促進されるかを考察し,中級者においても,CALLレッスンによって産出レベルにおけるテキストおよび語彙理解が促進されることが明らかになった。 また,CALLレッスン中の学習履歴やCALL後のアンケート調査により,CALLの学習スタイルに大きな個人差があることがわかった。バランスのよいCALL使用,学習者の学習過程をセルフモニタリングする力が,学習効果に影響していると考えられる。 さらに、CALLを利用したクラスは,遅延語彙と遅延再生ライティングテストにおいても良い結果を出していることから,CALLが既習項目の定着も促進していることがわかった。
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